菊鷹を楽しむ会

先週の金曜日、「菊鷹を楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

「菊鷹」を醸しているのは、1872年(明治5年)創業となる愛知県稲沢市に蔵を構える藤市酒造さんです。

藤市酒造さんでは、日本酒の他、焼酎、みりん、ポートワインといったものも造っていますが、「菊鷹」銘柄については、長きに渡り、廃番状態になっていました。

山廃仕込みの日本酒を醸していたことから、山廃造りの経験のある杜氏を募集したところ、2012年から南部杜氏の山本克明さんが入社することとなりました。

そして、専務の加藤豪さんと二人三脚で、24BYから復活させたのが「菊鷹」です。

山本さんは、大阪府の河内長野市にあります「天野酒」という銘柄を醸していた西條合資会社さんで、「頭」という「杜氏」の次のポジションとなる立場で酒造りをされていました。

通称「山本スペシャル」という、濾過をせず、火入れもしない、いわば‶すっぴん“の酒(無濾過生酒)が、これまで日本酒に馴染みのなかった方までをその虜にし、多くのファンを獲得していました。

西條合資会社さんを退社後は、杜氏の資格を得るため、南部杜氏組合にて南部杜氏の資格を得て、藤市酒造さんに入社することとなったわけです。

杜氏としての酒造りは初めてでしたが、杜氏1年目から、造る日本酒が次々に完売し「最高」といっていいほどの素晴らしいスタートを切ることが出来ました。

藤市酒造さんでも順調にファンを獲得していた山本さんでしたが、30BYを最後に、佐賀県の光栄菊酒造さんへ移籍することとなりました。

ということで、今回ご用意した30BYの「菊鷹」が山本さんが醸した最後のお酒となりました。

山本さんには、光栄菊酒造さんでも「菊鷹」ブランドにも負けない素晴らしい日本酒を醸されることを心より期待しております。

 

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして、合計16銘柄です。

この中で乾杯酒にさせて頂いたのは…

一番右端にあります「十四代 七垂二十貫 純米大吟醸 30BY」です。

愛山?(以前は「愛山」表示がされていた記憶がありますが、現在は表記が国産米となっていますので、「愛山?」といたしました)を35%まで磨いた「十四代」の最高峰の1つです。

江戸時代に使用されていた尺貫法で、1貫が3.75kgですので、20貫となると75kgということになります。

すわなち、僅かにしぼれた雫酒を意味する「七垂」を商品名にしていることからも、その貴重さがうかがえます。

やや冷えた状態で飲むこの乾杯酒はやはり最高でした!!

 

その他右から順番に…

①菊鷹 雄飛 純米吟醸 無濾過生 30BY

②菊鷹 雲外蒼天 山廃純米吟醸 無濾過生 仕込8号 30BY

③菊鷹 雲外蒼天 山廃純米吟醸 無濾過生 仕込9号 30BY

④菊鷹 雌伏 山廃純米 無濾過生 30BY

⑤菊鷹 雌伏 山廃純米 無濾過生 +10 30BY

⑥菊鷹 Hummingbird 純米 無濾過生 30BY

⑦菊鷹 菊一文字 純米 無濾過生 30BY

⑧菊鷹 比翼 山廃本醸造 無濾過生 30BY

⑨農口尚彦研究所 山廃純米 無濾過生原酒 2017

⑩宗玄 純米 ひやおろし 30BY

⑪誉凱陣 純米吟醸 無濾過生 29BY

⑫会津宮泉 純米生もと 酵母無添加 30BY

⑬山本 純米吟醸 備前雄町 29BY

⑭而今 純米吟醸 愛山 28BY

⑮新政 エクリュ2014 生米麹仕込 蔵内熟成 台風19号復興支援酒

 

①はややうすにごりの生酒です。

27BYまで山廃仕込みでしたが、28BYから速醸仕込みとなっています。

 

②③は山廃純米吟醸の飲み比べです。

②は自社酵母、③は熊本酵母と、酵母だけの違いでしたが、これだけ味わいが異なるのは驚きです。

 

④⑤は山廃純米の飲み比べです。

④は29BYでは7号酵母でしたが、30BYでは酵母無添加となっています。

雌伏シリーズは27BYまでは7号酵母と8号酵母の2種類発売されていましたが、28BYから8号酵母は速醸もととなりました。

 

⑥は飲み手の間口を広げようと飲みやすさを重視して醸されたものです。

 

⑦が8号酵母の速醸もととなったものです。

8号酵母は、酸が多く、濃醇酒向きの酵母と言われています。

淡麗辛口ブームから1978年に発売中止となりましたが、2003年少数の酒蔵が使用を開始しました。

 

⑧は11号酵母で醸した山廃本醸造です。

アルコール度数が18度ある生原酒です。

 

⑨は山廃仕込みの多い「菊鷹」つながりで、「山廃」と言えば農口尚彦さんということで出品させて頂きました。

製造年月日は2018年1月となりますので、約2年近く弊社マイナス5度の冷蔵庫で保管していたものです。

熱燗が抜群に美味しかったようです。

 

⑩は農口さんのもとで2年間一緒に酒造りをしていた、坂口幸夫さんが醸す酒です。

うっかり写真を撮り忘れてしまいましたので、画像はありませんが、燗にすることで、ぐっと味わいに膨らみが出ました。

もう一人の能登四天王、波瀬正吉さんのもとで修行をされたので、波瀬さんの影響を色濃く受けているようで、山廃仕込みでなくてもしっかりとした味わいの酒が造れることを、ある意味証明するためにも、山廃仕込みはされていないようです。

 

⑪は「悦」ではなく、「誉」凱陣です。

「悦凱陣」、「誉凱陣」ともに安定していますね。

 

⑫は4年前から造り始めている生もとの酵母無添加仕込みです。

おそらく都内では未販売と思われます。

今回「菊鷹」でも造られていましたが、近年、酵母無添加で醸す酒が増えてきているように思われます。

昔は酵母無添加が当たり前だったんですが…。

こちらも「寫楽」同様、造りが安定しています。

 

⑬は備前雄町で醸した最後の酒です。

すべて秋田県産の米で醸すことになりましたので、県外産の米では今はもう造っていません。

これだけ素晴らしい酒を造れるので、もったいないような気もしますが、いつかまた会えるかな。

 

⑭は弊社冷蔵庫で2年間熟成させたものです。

やはりといいますか、、一番最初に空瓶になっていました(笑)

 

⑮は復興支援酒です。

今年は台風による災害が多い年でしたが、この酒は台風19号で被災した地域にしかるべき機関から、1本あたり900円が寄付されることになっているものです。

今年の新政酒造さんの頒布会でも生米麹で醸した酒が発売されましたが、これは4年くらい前に醸した酒を熟成したものになるようです。

 

「菊鷹」ブランドでの飲み比べは楽しいものでした。

同じ銘柄で、これだけすべて味わいが異なるのは、珍しいかも知れませんね。

おそらく弊社日本酒会では最後の「菊鷹」になると思いますが、初めて飲まれた方もそうでない方も、皆さんたいへん喜んでくださいました。

 

 

それからお料理ですが…

先 付  帆立 昆布締めサーモン 胡瓜 柿酢ソース

前 菜  粟麩の田楽(八丁味噌) 蓬麩の田楽(西京味噌) 芹の黒胡麻和え 秋刀魚の酒盗焼き

お造り  金目鯛 アカイカ

焼き物  鰻肝焼き

煮 物  女将特製 牛すね肉と大根のスープ煮

揚げ物  鱈の白子の天ぷら ししとう

食 事  うな丼 出し汁 薬味

香の物  胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬

 

先付は、旬の柿を使って、さっぱりとやや甘酸っぱい味つけにしてみました。

 

前菜は、今回の出品酒にも合うような、味の濃いものにしてみました。

これだけで、お酒が進んだのではないでしょうか。

 

お造りは、脂ののった金目鯛とアカイカです。

 

煮物は、毎回ご好評を頂いている、牛すね肉と大根のスープ煮です。

レシピを教えて欲しいというお客様多数!!

 

揚げ物は、これから旬を迎える鱈の白子の天ぷらです。

とろける白子と塩の相性は抜群です。

 

お料理はいかがでしたでしょうか?

 

 

最後に欲しい方全員にプレゼント?をご用意致しました。

山田錦と書いてありますが、中身は「手取川」の大吟醸酒粕です。

20kgありましたが、お陰様で、あっという間に、なくなりました(笑)

ご自宅で、粕汁や甘酒などにして、美味しくご使用くださいませ。

 

 

通常の日本酒会は、今回で年内最後となりました。

今年も本当にありがとうございました。

また来年、お会いできるのを楽しみにしております。

 

12月は、今年も少人数での「プレミアムな日本酒会」を開催致します。

ご参加頂けるお客様はよろしくお願い致します。