第3回 美酒を楽しむ会

先週の金曜日、「第3回 美酒を楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

 

令和2年初めての日本酒会は、弊社日本酒会でも大人気の銘柄や初出品となる銘柄も加えて、お楽しみ頂きました。

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計17銘柄です。

この中で乾杯酒にさせて頂いたのは、一番右端にあります「AKABU 純米大吟醸 極上ノ斬 山田錦 生」です。

杜氏の古舘龍之介氏が一度だけ「山田錦」で醸してみたいとの思いで実現した限定酒です。

来季以降は造る予定がないということですので、市場に無くなり次第、もう飲むことはできないかも知れません。

「山田錦」を35%まで磨き、マイナス1度の氷温にて搾った、まさに極上の逸品です。

味わいももちろん極上でした!

 

その他右から順番に…

①田酒 純米大吟醸 百四拾 生

②十四代 超特撰 純米大吟醸

③勝山 純米吟醸 献 生

④寫楽 純米吟醸 おりがらみ

⑤會津宮泉 純米 にごり 生

⑥三春五万石 芳醇 純米吟醸原酒

⑦鳳凰美田 赤判 純米大吟醸 無濾過生

⑧渡舟 テロワール 太田ノ谷 2018

⑨寒菊 電照菊 純米大吟醸 無濾過生原酒

⑩松美酉 純米吟醸 生

⑪菱湖 純米吟醸 無濾過生

⑫菊姫 山廃純米 呑切原酒

⑬裏神蔵 七曜 純米大吟醸 無濾過生原酒 責め

⑭龍神丸 大吟醸 生原酒

⑮而今 大吟醸

⑯La+YACHIYO ROOM 純米吟醸 生

 

①は青森県内の限定酒です。

「百四拾」とは、青森県の酒造好適米「華想い」の別名です。

「火入れ」は、都内でも販売されていますが、「生」は青森県内限定発売となっています。

都内ではややレア度は高いかも知れません。

 

②は言わずと知れた「十四代」の高級酒です。

兵庫県特A地区産の山田錦を35%まで磨いた、「十四代」の中でも最高ランクの一つです。

乾杯酒と同じ山田錦を使用し、同じく35%まで精米してあります。

 

③は数々の受賞歴を誇る銘酒で、季節限定の生酒です。

世界最多出品酒数を誇る世界一美味しい市販日本酒を決める品評会「SAKE COMPETITION 」では、2015年、2016年の2年連続で、純米吟醸部門で第1位となりました。

また翌年の2017年は第2位、2018年にはフランスで開催されている日本酒の品評会「Kura Master」で最高位のプラチナ賞、そして2019年にはロンドンで開催されているIWC「SAKE部門」で最高賞となるチャンピオン・サケに選ばれています。

日本だけでなく、世界の人々も魅了しているこちらの日本酒ですが、出品酒は火入れとなっています。

今回は、あえて季節限定の生酒バージョンでお楽しみ頂きました。

 

④⑤は宮泉銘醸さんが醸す、限定のにごり酒(うすにごり)です。

④は毎年人気の「うすにごり」ですが、それと飲み比べて頂けるように、會津宮泉の「にごり酒」を出品致しました。

「にごり酒」とありますが、「にごり」の程度はほとんど「うすにごり」です。

これまで福島県内限定だった會津宮泉の「にごり酒」もいよいよ都内でも販売されることとなりました。

それだけ人気があるということでしょうか。

會津宮泉の方が、ガス感があり、より爽やかな味わいでしたが、どちらも大人気でした。

 

⑥は「三春駒」という銘柄で、地元で愛されている佐藤酒造さんが醸す新銘柄です。

都内ではまだあまり見かけないかもしれません。

もともとグループ会社の食品営業にいた斎藤哲平氏が、製造部からの誘いを受け見習いを経て、2016年10月から杜氏となり、新たに立ち上げたブランドになります。

斎藤氏が杜氏になってから、全国新酒鑑評会で毎年金賞を受賞しています。

酒造好適米「五百万石」を使用していますので、そこから「五万石」という銘柄名になったように思われますが、佐藤酒造さんのある三春町は、かつて三春藩が五万石の石高を有していたこからこのよう銘柄名にしたそうです。

 

⑦はこちらも人気の栃木県の銘酒「鳳凰美田」です。

兵庫県西脇市産山田錦を40%まで磨いた、ラベル通りの「赤判」の生酒です。

 

⑧は30BYからの新商品です。

日本酒でもテロワールという言葉が使われるようになってきましたが、「土地」を意味するフランス語terreから派生した言葉です。

もともとワイン、コーヒー、茶などの品種における、生育地の地理、地勢、気候による特徴を指すフランス語です。

すなわち、作物の生育環境とでもいうことができますので、この日本酒は「太田ノ谷」という土地特有の生育環境で育った酒米で醸された日本酒ということになると思います。

「太田ノ谷」は、収穫の秋に空気の寒暖層が逆転し、田んぼ全体が温暖な空気に包まれます。

すると、稲がゆっくり結実して、特有の柔らかい最高品質の米(短稈渡船)ができるそうです。

「太田ノ谷」の風土が育んだ価値をあえてスペックを語らずに伝えたい、お客様ご自身の感覚で味わっていただきたいとの思いで、精米歩合や特定名称酒は記載されていません。

 

⑨は人気上昇中の「寒菊」です。

長年杜氏を務めていた高橋正芳(ただよし)氏が引退することとなり、急遽、当時まだ20代だった柳下裕亮(やぎしたゆうすけ)氏が杜氏となって醸した日本酒です。

柳下さんは、もともと航空整備士という異色の経歴の方ですが、以前から酒造りを希望していたそうで、その願いが叶ったという夢のような話ですが、最初の4年間はみっちりと高橋氏から学んだそうです。

こちらの日本酒は秋の限定酒で華やかな酵母のM310を使用しています。

仕込水はミネラルの多い硬水を使用していますので、味のある日本酒ができるようです。

 

⑩は神奈川県の中沢酒造さんが醸す日本酒です。

昔からの槽搾りで、全量手造りにこだわった日本酒です。

もともとこのような漢字ラベルでしたが、漢字が難しいということで、「松美酉」は「松みどり」となっているラベルが近年は増えています。

 

⑪は「峰乃白梅」で有名な峰乃白梅酒造さんが醸す新銘柄です。

新潟県では2番目に古い酒蔵で、「越の三梅」(越後三梅)と言われる新潟の三大銘酒(越乃寒梅、雪中梅、峰乃白梅)の一つを醸している酒蔵です。

宮泉銘醸さんの杜氏だった井島健司氏が移籍し、29BY(試験醸造)から立ち上げたブランドになります。

銘柄名は酒蔵のある新潟県の西蒲区生まれの「幕末の三筆」の一人、「巻 菱湖」氏からいただいたそうです。

新潟と言えば「淡麗辛口」というイメージが強いですが、近年はそれとはまったく異なる新しい日本酒が誕生しています。

その一つがこちらです。

まだ種類が少ないですが、今後とても楽しみな美酒です。

 

⑫は熟成酒の銘酒「菊姫」です。

毎年7月に発売されるこちらの日本酒は、酒造期に火入れした貯蔵タンクの中から原酒を取り出し、熟成がうまく進んでいることを確かめる「呑み切り」という作業を経て、特によかったものが「呑切原酒」として出荷されています。

アルコール度数は19度ありますので、熟成酒させて楽しめる日本酒でもあります。

 

⑬は京都「神蔵」の裏バージョンです。

京都洛中では最古(1727年創業)となる酒蔵「松井酒造」さんが醸す限定酒です。

「七曜」とは一週間毎日という意味で、飲食店限定酒となっています。

京都府内で約95%消費されていますので、都内ではあまり見かけることのない銘柄です。

今回ご用意したこちらの日本酒は、裏バージョンとなっていて、上槽の際に、最後に圧力をかけて搾る「責め」と言われる部分を瓶詰めした超限定酒となっています。

「神蔵」らしく、「責め」の部分でも、雑味のない綺麗な日本酒です。

 

⑭は女性杜氏が醸す幻の酒とも言われる日本酒です。

2004年に誕生したこちらの日本酒は、8代目となる高垣純一氏が立ち上げた銘柄ですが、2005年に「もやしもん」の著者である石川雅之氏が、作中で「ほぼ本来の日本酒の味」と記したことから有名になったものの、生産量が少なく、「幻の酒」と言われるようになりました。

しかし、2010年、高垣純一氏が急逝。

奥様の高垣任世(ひでよ)氏が4年の歳月を経て、復活させました。

 

⑮は大人気の「而今」です。

今回の出品酒では、素晴らしい日本酒が多く、「而今」でさえ影が薄くなってしまうほどでした。

ただし、空瓶になるのは、やはり「十四代」と並んで、最も早かったようです。

 

⑯は山口県の八千代酒造さんが醸す新銘柄です。

5代目となる蒲久美子氏が、同じ山口県の澄川酒造場さんの施設を一部借りて醸したものです。

30BYからとなりますので、こちらの日本酒が2年目となります(31BY)。

「ROOM」が初めて醸す商品ですが、今後は別の名前の商品を醸すことも考えているそうです。

楽しみですね。

 

 

今回は、「十四代」や「而今」といった大人気銘柄に引けを取らないものもあり、今後ますます新しい日本酒ブランドの登場が楽しみになってきました。

日本酒造りに携わっている方々には是非とも引き続き頑張って頂きたいと思います。

 

 

それからお料理ですが…

先 付  白子ポン酢

前 菜  牡蠣のしぐれ煮  鶏肉の照焼き  菜の花のお浸し

焼き物  鰻肝焼き

煮 物  女将特製 揚巻湯葉の含め煮

焼き物  関西風白焼

煮 物  大根のそぼろ味噌あん

食 事  うな丼 出し汁 薬味

香の物  胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬

 

先付は、旬の鱈の白子を使って白子ポン酢です。

クリーミーな白子とポン酢との相性は抜群です。

 

前菜は、こちらも旬のものを取りた三点盛りです。

菜の花は炒った卵黄を裏漉しし、春に咲くヤマブキの黄色い花に見立てた一品です。

 

焼き物は、「鰻の肝焼き」と「関西風白焼」をご用意しました。

「関西風白焼」は、通常ですと「塩と山葵」で召し上がって頂いておりますが、今回は「山椒味噌」でお召し上がり頂きました。

 

煮物は、女将の一品としまして、揚巻湯葉をやや薄味に仕上げた含め煮です。

 

煮物はもう一品、旬の大根を使って、そぼろ味噌あんにしてみました。

 

 

お料理はいかがでしたでしょうか?

 

 

今回は45名のお客様にご参加頂きましたが、お席が窮屈になってしまい、誠に申し訳ございませんでした。

今年も、毎回、皆様にご満足頂けるような日本酒会を開催したいと思いますので、ご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。