伯楽星・あたごのまつを楽しむ会

先週の金曜日、「伯楽星・あたごのまつを楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

 

「伯楽星・あたごのまつ」を醸しているのは、1873年(明治6年)創業となる新澤醸造店です。

昨年の秋から、杜氏が代わり、22歳の渡部七海さんが全国史上最年少、女性杜氏となりました。

近年は女性杜氏も増えていますが、入社3年目にして杜氏に抜擢されたことはすごいことだと思います。

ちなみに、それまでは現在代表取締役となる新澤巖夫さんが、2002年に宮城県の史上最年少杜氏となってから、2018年まで杜氏を務めていました。

新澤さんは、杜氏になると同時に、究極の食中酒「伯楽星」を誕生させました。

しかし、当時は「飛露喜」の無濾過生原酒が世に出始めた頃でもあり、また食中酒という概念が一般的ではなかったため、なかなか受け入れてはもらえませんでした。

そのでも、地道に改良を重ねていくうちに、2003年発売の雑誌ダンチュウで「隠れた日本の銘酒」として紹介され、これがきっかけとなり、全国にその名が知れ渡っていきました。

2009年にはJALの国際線ファーストクラスの機内酒に採用され、2010年にはFIFAワールドカップの公式日本酒に選ばれるなど、知名度はさらにアップしていきます。

そんな時、2011年3月11日に起こった東日本大震災により、大崎市にあった蔵は全壊してしまいます。

その後、川崎町で廃業となった「まるや天賞」さんの新蔵が売りに出されていることを知り、そこを買い受け「川崎蔵」として製造の場を移しました(なお、本社兼店舗は大崎市)。

以前より大規模な酒造施設であったことから、設備の充実に力を注ぐことができ、さらに進化した酒造りが可能となりました(0.1度単位で温度調整可能な釜や最新鋭の自社精米器の導入など)。

 

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして、合計16銘柄です。

この中で乾杯酒とさせて頂いたのは…

一番右端にあります「伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦」です。

兵庫県の特A地区と呼ばれる「山田錦」の最高峰となる酒米を使用して、29%まで磨いています。

「究極の食中酒」がコンセプトであるように、純米大吟醸ながら香りは控えめで、繊細な米の旨みが味わえる酒です。

ちなみに、最新の精米機を所有していることから、精米歩合0%という「零響」という酒も造っています(500mlで税抜き35万円)。

 

その他右から順番に…

①伯楽星 純米大吟醸 桜

②伯楽星 純米大吟醸

③伯楽星 純米吟醸 冷卸

④伯楽星 特別純米 冷卸

⑤あたごのまつ 大吟醸 出品酒

⑥あたごのまつ 純米大吟醸 白鶴錦

⑦あたごのまつ 純米大吟醸 彗星

⑧あたごのまつ 純米吟醸 鈴傳限定醸造

⑨あたごのまつ 純米吟醸 ささら おりがらみ 生

⑩あたごのまつ 純米吟醸 ささら 冷卸

⑪あたごのまつ 特別純米 ひより 冷卸

⑫あたごのまつ 本醸造 鮮烈辛口

⑬愛宕の松 別仕込み本醸造

⑭飛龍 純米大吟醸

⑮超濃厚ジャージーヨーグルト酒

 

①はJALの国際線ファーストクラスで採用された酒です。

「桜」とあるように、機内酒としては桜の季節である春に使用されるようです。

こちらだけ、唯一四合瓶となります。

 

②は雄町を40%まで磨いています。

 

③④は定番の冷卸バージョンです。

マイナス5度で品質管理されていますので、定番との違いもそれほどはないように思われます。

 

⑤は全国新酒鑑評会に出品したものです。

新杜氏となったばかりの渡部七海さんの技術向上を目的として出品したようですが、初めての出品酒ながら金賞を受賞しています。

出品酒ですので、他の「伯楽星」「あたごのまつ」とは違い、香りは華やかなタイプとなっています。

 

⑥は30BYで初めてとなる「白鶴錦」で醸した酒です。

 

⑦は北海道限定酒です。

こちらは、東日本大震災で新澤醸造店さんが被災したときに、北海道から多くのボランティアの方々(全体の3分の1以上)に手伝いに来ていただいたので、感謝の気持ちを込めて、北海道の酒米を用いて醸したものです。

ちなみに、このラベルは、幼少期に北海道の千歳市に住んでいたという御縁から「テルマエロマエ」の作者であるヤマザキマリさんが描いてくださったそうです。

 

⑧は鈴傳限定の酒です。

こちらの酒は、キャロンサムさんというアメリカ人の副杜氏が醸しています。

海外への輸出も多いそうですので、今後、日本酒に興味を持って、日本酒を造りたいと来日する外国人も増えるかも知れませんね。

 

⑨は今回の出品酒の中で唯一の生酒です。

新酒第1弾は毎年この酒となります。

 

⑩⑪は定番の冷卸バージョンです。

「伯楽星」もそうですが、「特別純米」はぬる燗もお薦めです。

 

⑫⑬は本醸造です。

⑫は渡部七海さんが初めてコンクールに出品して(ブリュッセル国際コンクール)、最高位となるトロフィーを受賞したものです。

冷酒、常温、燗、どの温度帯でも美味しく飲めるスーパー晩酌酒といった感じでしょうか。

 

⑭は「朝日」という食中米で醸したものです。

「伯楽星」や「あたごのまつ」とは資質が異なるので、別銘柄にしたそうです。

 

⑮はリキュールの中でも一番人気だと思われます。

文字通り、濃厚なヨーグルトにアルコールが加わっている酒です。

予想通り、早い段階で空瓶になってました。

 

全体的に、安定しているのが「伯楽星」で、味わいのバリエーションが豊富なのが「あたごのまつ」といったところでしょうか。

 

 

それからお料理ですが…

先 付  いくらおろし

前 菜  葡萄の白和え 蛸のうま煮 笹かまぼこの黄身焼き 栗の渋皮煮

お造り  福井県産ヒラマサ  長崎県産アジ

焼き物  関西風白焼

煮 物  女将特製 かぼちゃのそぼろ煮

揚げ物  宮城県産牡蠣と柿の揚げ出し

食 事  うな丼 出し汁 薬味

香の物  胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬

 

先付は大根おろしでさっぱりといくらおろしです。

 

前菜は旬のものや宮城県の特産品と使った4点盛りです。

 

お造りは、淡麗な酒に合わせて、白身魚です。

 

煮物には、女将の一品として、ハロウィンを意識し、かぼちゃを使ったそぼろ煮です。

 

揚げ物には、これからが旬となる宮城県産の牡蠣とこちらも旬の柿を使った揚げ出しです。

 

お料理はいかがでしたでしょうか?

 

 

今回は、大勢のお客様にご参加頂きましたが、お席が窮屈だったかも知れません。

申し訳ございません。

次回は11月15日(金)を予定しております。

皆様のご参加お待ちしております。