田酒・陸奥八仙・鳩正宗を楽しむ会

先週の金曜日、「田酒・陸奥八仙・鳩正宗を楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

 

「田酒」を醸しているのは、青森市内、唯一の酒蔵である西田酒造店さんです。

創業は明治11年(1878年)で、代表銘柄が「田酒」になります。

「田」は酒の元となる米がとれる「田んぼ」を意味し、田んぼから収穫される「米」以外の生産物である醸造用アルコールや醸造用糖類を一切使用しないことを強く主張した、旨口の純米酒です。

 

「陸奥八仙」を醸しているのは、港町・八戸市に蔵を構えている「八戸酒造」さんです。

創業は安永4年(1775年)と古く、代表銘柄が「陸奥八仙」になります。

中国の故事、酔八仙(八人のお酒の仙人の物語)から、仙人の境地で酒を楽しんで頂きたいとの思いを込めて、「陸奥八仙」と名付けたそうです。

 

「鳩正宗」を醸しているのは、十和田市唯一の酒蔵である鳩正宗さんです。

創業は明治32年(1899年)で、代表銘柄が「鳩正宗」になります。

昭和初期、蔵の神棚に棲みついた一羽の白鳩を守り神として大切に飼い、以後も鳩神様として祀り、「鳩正宗」と名付けました。

 

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして、合計12銘柄です。

この中で乾杯酒とさせて頂いたのは…

一番右端にあります「喜久泉 大吟醸 雫しぼり」です。

鑑評会出品酒向けに造られている限定酒です。

「田酒」とは異なり、「喜久泉」は醸造用アルコールを必要最小限添加した、アル添酒になります。

昨年の全国新酒鑑評会では見事「金賞」を受賞しています。

 

その他右から順番に…

①田酒 特別純米 生原酒 White  Knight

②陸奥八仙 特別純米 生原酒 White  Knight

③鳩正宗 特別純米 生原酒 White  Knight

④田酒 純米吟醸 山田穂

⑤田酒 純米吟醸 山田錦 生

⑥田酒 特別純米 生

⑦陸奥八仙 純米大吟醸 華想い 生原酒

⑧裏陸奥八仙 純米大吟醸 華想い 生原酒

⑨陸奥八仙 URARAラベル

⑩鳩正宗 純米大吟醸 プロトタイプNO.21

⑪鳩正宗 純米吟醸 ピンクラベル 直汲み生

 

①②③は3社の合同企画でリリースされた限定酒です。

「特別純米 生原酒」かつ「青森県産米」で醸すことがテーマだったそうです。

すべて、青森県の酒造好適米「華吹雪」が使われていますが、「陸奥八仙」のみ掛米が60%になっていますので(その他は55%精米)、すべてのスペックが同じというわけではありませんが、飲み比べ企画としては面白いものになっています。

この会に参加されている方々の中では、「田酒」が一番ご好評だったようです。

 

④は29BYからリリースされたものになります。

これまで40%精米の純米大吟醸規格では「山田穂」が使用されていましたが、初めて純米吟醸規格で、より米の旨みが味わえるものとなりました。

 

⑤⑥が四合瓶限定の生酒です。

⑤は30BYから初リリースとなった、「山田錦」で醸した、純米吟醸酒です。

こちらが一番というお客様もいらっしゃいましたが、いずれは「火入れ」でも発売されるかも知れませんね。

⑥は定番商品の生酒になりますが、実は①の生原酒に加水したものがこちらになるそうです。

ということで、①⑥の飲み比べは、なかなか出来ない貴重な飲み比べでした。

 

⑦⑧は青森県の酒造好適米「華想い」を50%まで磨いて醸された純米大吟醸です。

⑧は醪を搾る際に最初に出てくる部分である「あらばしり」と、最後に圧力をかけて搾りだされる部分である「責め」をブレンドしたものになります。

フレッシュで力強い旨みがあり、言葉はよくないかも知れませんが、雑味なども含んだ酒になるのが一般的です。

滅多に販売されることがない酒ですので、「裏」ということになっているのだと思います。

すなわち⑦は、ほぼ「中取り」ということになります。

飲み比べてみると全く同じ酒とは思えないことに驚かされる方が多かったようです。

「裏」バージョンが大人気でした。

 

⑨は季節限定の春酒です。

山本リ〇ダさんを彷彿とさせるラベルになっていますね。

春らしく、ウキウキした気分で楽しく飲めそうな酒です。

「陸奥八仙」の中ではすっきりとした味わいです。

 

⑩はプロトタイプ、すなわち試験醸造酒です。

なぜプロトタイプなのかと言うと、「吟烏帽子(ぎんえぼし)」という新しく育成された青森県の酒造好適米で醸されたからです。

29BYから使用され始めた「吟烏帽子」ですが、まだ「鳩正宗」さんを含め、数社だけしか使用していないそうです。

青森県内では「華吹雪」や「華想い」なのが作付されていますが、ヤマセによる冷害が発生する県南地方には適さず、より耐冷性に優れた県南でも安心して作れる米として開発されました。

心白が米の中心部にあり、小さいため、大吟醸向けに使用することも可能になっています。

今後、「吟烏帽子」で醸した酒も多くなってくるのではないでしょうか。

 

⑪は「鳩正宗」の限定直汲みバージョンです。

「純米大吟醸」と「特別純米」を1本ずつ出品しましたので、もう1本は「純米吟醸」のこちらを選ばせて頂きました。

 

今回は3銘柄ということで、出品数も限られていましたので、敢えて定番商品ではない限定酒を中心に選び、お楽しみ頂きました。

とりわけ「鳩正宗」は日本酒会初出品となりましたが、いかがでしたでしょうか。

 

それからお料理ですが…

先 付  長芋 オクラ とんぶり 酢の物

前 菜  ばっけ味噌 百合根  イカ軟骨の生醤油焼き  豚バラの味醂粕漬け焼き

お造り  北海道産ソイ  北海道産帆立

焼き物  関西風白焼

蒸し物  空也蒸し

揚げ物  空豆と白魚のかき揚げ

食 事  うな丼 出し汁 薬味

香の物  胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬

 

先付は、青森県を代表する農産物である長芋を千切りにし、叩いたオクラと一緒に酢の物でさっぱりとお召し上がり頂きました。

前菜ですが、一品は、ばっけ味噌(青森の津軽弁で「蕗味噌」のことを「ばっけ味噌」と言うそうですが)に百合根を合わせることで、苦みだけでなく、甘味も合わさり、酒のつまみにもぴったりだったのではないかと思います。

また、青森らしく、イカを使用し、その軟骨を炭火で生醤油焼きにしてみました。

お造りは、青森でもよく獲れるソイと帆立にしました。

蒸し物は、女将が家庭でもよく作る、空也蒸しです。

豆腐を入れた茶碗蒸しに、熱々の餡をかけ、生姜が添えてあります。

この日は、朝からとても寒い日でしたので、温かいこちらの一品がぴったりでした。

揚げ物には、春らしく空豆や白魚を使ったかき揚げです。

 

お料理はいかがでしたでしょうか?

 

次回は来月中旬頃を予定しています。

マニアックな日本酒「ソガペールエフィス」の会です。

皆様のご参加をお待ちしております。

よろしくお願い致します。