高木酒造酒米三部作を楽しむ会

昨日「高木酒造酒米三部作を楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

 

高木酒造さんと言えば「十四代」を醸す蔵として広く知られていますが、その「十四代」を醸しているのが、現在15代目となる高木顕統(あきつな)さんです。

実は「十四代」という銘柄は50年以上も前から、14代目の高木辰五郎さんによって古酒として使われていた銘柄でした。

「十三代」「十四代」「十五代」「十六代」と、すべて特許申請したところ、数字は特許が取れないということでしたが、「十四代」だけは特許が取れたそうです。

「とよしろ、とか、よしよ、とか人の名前だと思われてのではないか」ということですが、真相ははっきりしていません。

地元では古酒として知られていましたが、いわば新しい「十四代」として、顕統さんは引き継ぐことにしました。

というのも、「十四代」という名前は非常にインパクトがあり、人の心に残るような響きがあると感じていたからです。

顕統さんは東京農大の醸造学科を卒業後、流通の現場を知るため、東京のクイーンズ伊勢丹に就職し、酒売り場を担当していました。

その2年後となる25歳のとき、杜氏が高齢で引退するため、至急、蔵に戻り、酒造りの陣頭指揮を執るように父の辰五郎さんから連絡がありました。

もともと長男として生まれたため、いずれは蔵を継ぐつもりでいたそうですが、自ら酒造りをすることは想定していなかったそうです。

一大決心をして、平成5年、蔵に戻り、様々な方から指導を受け、酒造りを始めました。

酒造りは想像していた以上に過酷なもので、睡眠も思うように取れず、体重は減り、体調も崩す中、ようやく「十四代」を造り上げました。

当時は淡麗辛口がブームでしたが、命がけで造った初めてのお酒は、有名酒販店や淡麗辛口に飽きていた日本酒愛飲家の方々から評価され、一躍人気銘柄となりました。

現在、高木酒造さんでは山田錦や雄町、愛山など様々な酒米を駆使していますが、その中でも辰五郎さんが18年の歳月をかけて交配、育種を重ねて生み出した酒米「龍の落とし子」「酒未来」「羽州誉」の酒米三部作を使った銘柄を皆様にお楽しみ頂きました。

 

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計15銘柄です。

この中で乾杯酒とさせて頂いたのは…

一番右端にあります「十四代 純米大吟醸 龍の落とし子」です。

「龍の落とし子」は1999年に品種登録されて以来、「十四代」でのみ使用されている酒米ですので、もし「龍の落とし子」を使ったお酒を飲みたいということであれば、現在「十四代」を飲む以外方法はありません。

今回は「龍の落とし子」を使った純米大吟醸規格のこちらをご用意させて頂きましたが、じっくりと味わって頂けましたでしょうか。

 

その他右から順番に…

①十四代 純米大吟醸 酒未来

②十四代 純米吟醸 酒未来

③くどき上手jr 純米大吟醸 酒未来

④栄光冨士 純米大吟醸 酒未来 無濾過生原酒

⑤山形正宗 純米吟醸 酒未来

⑥奈良萬 純米吟醸 酒未来

⑦寫楽 純米吟醸 酒未来

⑧寫楽 純米吟醸 なごしざけ 羽州誉

⑨惣邑 純米吟醸 羽州誉

⑩花邑 純米吟醸 雄町

⑪花邑 純米 陸羽田

⑫十四代 中取り純米吟醸 播州愛山

⑬而今 純米吟醸 愛山

⑭東洋美人 ippo 山酒4号

 

①②は「十四代」で使用されている酒未来の飲み比べとなります。

どちらもご好評は頂いたのですが、今回は純米吟醸規格の②の方がより評判が良かったようです。

分からないものです。

 

③④⑤はすべて同じ山形県の酒蔵が醸す「酒未来」のお酒です。

③は「くどき上手」の純米大吟醸規格のものですが、純米吟醸規格のものもあります。

酒の未来を託す酒米として命名された「酒未来」は、同じ山形県内の「くどき上手」を醸す亀の井酒造さんに初めて提供されたものですので、この企画で外すわけにはいきません。

④は様々な酒米を使いこなす冨士酒造さんが醸す「酒未来」バージョンです。

⑤はかつては「羽州誉」も使用していた「山形正宗」ですが、近年は「酒未来」に絞っているようです。

 

⑥⑦はどちらも福島県の酒蔵が醸す「酒未来」のお酒です。

⑥の「奈良萬」は会津産の五百万石のみ使用していた銘柄でしたが、多種多様な製品が世の中にあふれている中、このまま五百万石だけにこだわっていいものか、と関係者に相談したところ、五百万石以外の「奈良萬」も飲んでみたいという意見が多数あったこともあり、造られるようになったものです。

⑦は「羽州誉」も使用している「寫楽」です。

高木酒造さんからの信頼も厚いのでしょう。

 

⑧⑨は「羽州誉」を使った2銘柄です。

⑧はいわゆる「ひやおろし」のようなお酒で、約半年間低温熟成させたものです。

28BY「寫楽」の中でも1,2を争うほどの美酒でした。

⑨は「羽州誉」を唯一定番として年間使用している銘柄です。

「羽州誉」と言えばやはり「惣邑」は外せません。

 

⑩⑪は両関酒造さんが醸す銘柄です。

この「花邑」という銘柄は、高木酒造さんの技術指導を受けて誕生した銘柄ですので、高木酒造さんと関わりが深いこともあり、今回出品酒とさせて頂いたものです。

もちろん「十四代」とは味わいも別物ですが、もともと実力のある蔵元さんですし、ますます人気が出るのではないでしょうか。

 

⑫⑬は「愛山」を使用したものです。

今年「愛山を楽しむ会」を開催致しましたが、その際は出品が出来ませんでしたので、リベンジも兼ねて出品させて頂きました。

その際もご説明しましたが、「愛山」はもともと剣菱酒造さんが独占的に使用していた酒米でしたが、阪神淡路大震災で被災し、その時にあまった「愛山」を高木酒造さんが初めて使用し、それ以降、他の蔵でも使用するようになりました。

「愛山」と「十四代」は非常に相性がいいようで、⑫はまろやかでバランスも抜群でした。

⑬はこの会でも人気の「而今」ですが、「十四代」と「而今」の飲み比べとして出品させて頂きました。

もちろん素晴らしい出来でしたが、今回は「十四代」に軍配が上がりました。

 

⑭は高木酒造さんで修行された澄川さんが造る「東洋美人」です。

「山酒4号」は「山田錦」と「錦紋錦」を交配して誕生した酒米ですが、「龍の落とし子」や「酒未来」の父や母となった酒米です。

白ワイン的なお酒でもあり、こちらもご好評だったようです。

 

今回は「酒未来」を使った日本酒が多いのではないかと思われた方も多かったかも知れませんが、あえて高木酒造さん(十四代)と関わりのある銘柄も加えてみました。

多くのお客様にご満足を頂けたようで、嬉しく思います。

 

それからお料理ですが…

先 付 帆立と海老の柿酢ソース

前 菜 蓬麩の田楽(赤味噌) 焼き厚揚げ明太子和え 粟麩の田楽(柚子味噌)

お造り 北海道産天然鰤

煮 物 女将特製 山形牛と大根のスープ煮

焼き物 関西風白焼

煮 物 茄子の吹き寄せ 柿釜

食 事 うな丼 出し汁 薬味

香の物 胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬

 

先付は甘い柿と酢など合わせた甘酸っぱいソースで彩りも綺麗にお作りしてみました。

前菜には昨年もご好評を頂きました2種の麩を使い、味噌もそれぞれ変えたもの、明太子や卵黄などで味付けしたもので和えた厚揚げ豆腐の3種盛りです。

お造りはこれから旬を迎える脂ののった天然鰤です。

 

煮物は女将の一品として、山形のお酒も多いということもあり、山形牛のスネ肉を使ってお作りしました。

過去にも何度かお出ししましたが、毎回ご好評を頂いているスープです。

 

もう一つ、こちらの煮物は柿を器にした吹き寄せです。

貝類や野菜がたっぷり入った一品です。

 

今回のお料理はいかがでしたでしょうか?

 

前回に引き続き、今回も常連のお客様のこの表情。

美味しすぎて(?)頭を抱えていらっしゃいました(笑)

 

最後にこちらも常連のお客様による〆のご挨拶です。

いつも楽しいご挨拶をありがとうございます。

お陰様で今回も大盛況で終えることができたのではないかと思います。

次回も皆様のご参加お待ちしております。

よろしくお願い致します。